こんばんは。
先日、住友林業さんが木造で超高層建築を建てるというプロジェクトを発表しました。これが実に面白い。そんなわけ、簡単に解説したいと思います。
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建築概要
この2月20日に会社設立70周年を迎えるという住友林業さん。元々は住友家の別子銅山の公害対策の一環で行われた植林事業から派生しているそうで、その当時から350周年にあたる2041年に、高さ350mの木造建築を建てる、というのがこのプロジェクトです。
プレスリリース資料によれば、建築概要は以下の通りです。
- 高さ350m、地上70階の建物で、店舗・オフィス・ホテル・住宅用を合わせた複合ビル。
- 少しだけ鋼材を利用するようで、木鋼ハイブリッド構造というものを採用し、建物の外周部には木鋼ハイブリッドの柱梁と鉄骨制振ブレースを配置したブレースチューブ構造という構造形式になるようです。
- 木材使用料が185,000㎥、総工費約6000億円。(ちなみに、スカイツリーの総工費は約650億円)
ということで、これだけでもいかにぶっとんだ計画であるかがわかります。
環境にとてもやさしい
さて、通常の超高層建築は鉄骨や鉄筋コンクリートが主な材料となりますが、木材を主体とすることで、環境負荷の低減という点が最大の特徴といえるでしょう。プレス資料によれば、今回使用する木材185,000㎥で約10万トンのCO2を固定化する効果があるそうです。
また、これだけの量の木材を使用することになれば、国内の木材需要が大幅に拡大され、それにより林業の再生や地域活性化に貢献するとのこと。
さらにすごいのは、この超高層ビルで使用した木材は、一定期間後に取り除いてメンテナンスをし、使用済みの木材は住宅用建材などとして再利用するんだとか。
地震とか台風とか火事とか大丈夫なの?
さて気になるのは、地震とか台風とか火事といった自然現象に対しての安全性だと思うのですが、そのあたりはまだプレスリリースには載っておりませんでした。今後、研究開発を進めながら設計していくということなのでしょう。
実は、海外には既に超高層木造計画があった!
実は、海外には既に木造の超高層建築計画があるそうです。これは、1990年年代にCLTというコンクリート並みの強度を持つ木造集成材が開発されたことがきっかけとなり、地震などの影響の低いヨーロッパを中心に計画が進められいます。また、バンクーバーでは、既に高さ58.5m・18階建ての木造ビルが完成したんだとか。
※日本の建築基準法では、高さ60mを超えると超高層建築物という扱いになります。
出来上がるのが楽しみ!
2020年の東京オリンピックを目指して都内では様々な建築プロジェクトが計画中ですが、オリンピックが終わった後もまだまだ面白い建築が出てきそうですね。早く完成した建物を見てみたいものです。
ということで、高さ350mの超高層木造ビルの計画についてでした。