毎日新聞によれば、先日の北海道の地震で被害が出た苫東厚真発電所の耐震基準は震度5相当だったそうです。
北海道地震:苫東厚真発電機、耐震は最低の震度5相当 – 毎日新聞
で、このような地震被害が出るたびに、震度いくつで設計していたとか、その設計で大丈夫だったのか、といっま話がメディアに出るのですが、一般建築も含めて、震度って設計でどういう扱いをされているのでしょうか。
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そもそも「震度」とは?
そもそも「震度」とは、気象庁が発表している「気象庁震度階」のことで、地震記録から計算した計測震度を四捨五入した震度0~7までの10段階で表されます。その計算方法は結構複雑です。
また、震度は、地震動の周期特性や継続時間により変わるので、地震計で記録された最大加速度(〇〇ガル)に対して1対1で対応しません。なので、同じ震度7であったとしても、建物に作用する力は様々なのです。
建築基準法に「震度」は出てこない。
さて、建物の耐震設計は、建築基準法で規定されていますが、法令上は震度はどう記載されているのでしょうか。
建築基準法(および同法施行令・施行令規則)は、こちらのページで公開されていますが、「震度」で検索しても何も出てきません。*1
建物の設計では、「震度〇に対して設計した」という表現は本来はあり得ないのです。いくつかの仮定を置き、設計で想定した地震力が震度でいうといくつに相当する、という表記は一応可能ではありますが、これはいろいろな仮定に基づく仮の数値なので、実際の地震で生じた震度と比較してもあまり意味はないといえるでしょう。
なので、冒頭の発電所の設計が震度5を想定していたという話も、これだけではどういう外力に対して設計していたのかはわからず、設計が良かったのか悪かったのかは一概に判断できない、というのが正しい解釈になります。
耐震設計は「地震力」に基づき行われる
耐震設計は、建築基準法施行令82条~88条などに基づいて行われますが、このとき用いられるのは「震度」ではなく「地震力」です。地震力の設定については過去の記事を参照ください。