建物のバランスを表す指標として、剛性率と偏心率というものがあります。剛性率が大きいほど、また偏心率が小さいほどバランスの良い建物と言えます。
一方、バランスの悪い建物でも、それを考慮して必要な耐力を確保していることを検証するという方法もあります。そのような構造計算の方法を保有水平耐力計算と呼びますが、その中で出てくる形状係数Fesというもので、建物のバランスの悪さを考慮します。
以下では、形状係数について解説していきます。
形状係数とは?
形状係数は、剛性率と偏心率に応じて、建物に必要となる耐力を割増する係数であり、以下の式で求められます。
Fes = Fe × Fs
ここでFesは形状係数、Feは偏心率Reに基づく係数、Fsは剛性率Rsに基づく係数です。Fe,Fsは以下の図のように定められています。
この図は、偏心率Reが大きいほど、また、剛性率Rsが小さいほど、割増しが大きくなることを意味しています。偏心率が0.3以上、剛性率が0.3以下の場合、形状係数Fesによる割増しは2.25となります。
まとめ
- 保有水平耐力計算では、形状係数Fesにより建物のバランスの悪さの影響を考慮する。
- 偏心率が大きいほど、剛性率が小さいほど、形状係数が大きくなる。形状係数による割増しは最大で2.25。
↓偏心率・剛性率についての解説はこちら。