こんばんは。
先日の朝日新聞に、奨学金返済による破産が過去5年で1万5千人となり、しかも半数が保証人になった親だという記事がでていました。
奨学金破産、過去5年で延べ1万5千人 親子連鎖広がる:朝日新聞デジタル
数年前から、奨学金については色々と問題になっておりますが、今日はそのなかでも返還免除制度についての話をしたいと思います。
目次
奨学金制度
まずは奨学金制度のおさらいから。現在最も一般的な奨学金は、日本学生支援機構(JASSO)によるもので、一部を除き、基本的には貸与型の奨学金となります。さらに、利子がつかない第1種と、利子がつく第2種の2タイプがあります。採用基準は主に保護者の所得や本人の学力となり、当然ですが第1種のほうが採用が厳しくなります。*1
また、奨学金の主な原資は当然ながら過去に借りた人が社会に出た後、少しずつ返還していったお金となります。
ちゃんと制度を知ってから借りよう
一時期、「奨学金なんだから返還しないといけないのはおかしい!」とか言っている人がいましたが、貸与型の奨学金なので、当たり前ですが返還する必要があります。ただし、卒業後の収入が低かったり、病気などにより働くことができない場合は、返還の延期や減額・免除といった制度が用意されています。
奨学金は貧困ビジネスだ!とかいう本もあったりしますが、当然ですけど借りたものは返しましょう。
日本学生支援機構の情報開示が面白い
最近の日本学生支援機構ですが、奨学金の返済状況などについて積極的な情報公開をしています。さらに、この公開情報を整理した記事も出ていたりします。
独自集計!全大学「奨学金延滞率」ランキング | 奨学金制度はどうあるべきか | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
奨学金というのは本来は学生を支援するための制度ですが、残念ながら奨学金によって一部の(多くの場合学力レベルの低い)大学を延命させることになってしまっています。
返還免除制度は絶対狙った方が良い
さて前置きが長くなりましたが、ここからが本題の変換免除制度についてです。
大学院で第1種奨学金の貸与を受けた人のうち、特に優れた業績を残した人は、奨学金の全額または半額の返還を免除される、という制度があります。
大学院修士課程の場合、月額88,000円(2年で2,112,000円)を借りることができますが、この全額または半額が免除になるのは、実はとてもコスパが良い。同額をバイトで稼ごうと思うと、仮に時給1,000円とすれば月88時間をバイトに費やすわけですから、相当大変です。しかも、学業・研究を通じて得られた知識は就職後にも役に立つでしょうから、これほどコスパの良い自己投資はないと思われます。
実は、お金持ちほど有利な制度でもある
この制度ですが、返還免除の認定には保護者の所得など経済的な要素は関係なく、大学院入試の成績や大学院での研究業績が基準となります。なので、実は、実家がお金持ちで経済的に裕福であっても、返還免除が受けられてしまいます。
実際、大学院時代はバイトはしないで実家からの仕送りで生活し、奨学金には一切手を付けず、返還免除を申請して合格したため、修士課程2年間分の奨学金を丸ごと手に入れてしまったという人は結構いると思います。苦労してバイトをしながら研究をする人がいる一方、仕送りで生活しながら研究に没頭し、かつ卒業と同時に大金を手にする人もいるのです。なんかちょっと悲しいような気もします・・・
本来の奨学金はこうあるべきでは?
そんわなけで、お金持ちほど有利になる可能性がある返還免除制度ですが、僕は基本的にこの制度に賛成です。本来の奨学金って、やはり何らか結果を出した人に対してのご褒美的な要素であるべきだと思うのです。何の結果もない段階で、とりあえず先にお金だけくれって言われても、そんな人にお金出したくないですもんね(このあたりは反対意見も多々ありそうですね・・・)
ということで、奨学金の返還免除制度についてでした。