(1級建築士)ラーメン架構の崩壊荷重

構造

こんばんは。

全塑性モーメントと仮想仕事の原理を勉強すると、これを使って架構の崩壊荷重を求めることができます。これも1級建築士試験の頻出問題です。

目次

崩壊荷重とは

例えば図のようなラーメン架構に荷重が作用するとします。荷重が大きくなるにつれて、部材に生じる曲げモーメントは当然大きくなっていきます。そして部材に生じる曲げモーメントが全塑性モーメントに達すると、荷重は増えなくて変形だけが進んでいって崩壊に至ります。この時の荷重が崩壊荷重となります。  

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崩壊機構を考える

さて、崩壊荷重を求めるには、架構のどこかに塑性ヒンジができる必要があります。どこに塑性ヒンジが生じるかは、事前にはわかりませんので、考えうる塑性ヒンジの配置のパターンを全て洗い出して、それぞれの場合の崩壊荷重のうち最小のものが正解となります。
例えば、図のようにラーメン架構に水平荷重と鉛直荷重が作用する場合、以下の3パターンが崩壊機構として考えられます。それぞれに対する崩壊荷重を求めて、その中で荷重が最も小さくなるものが正解の崩壊荷重となります。

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仮想仕事を使って崩壊荷重を求める

崩壊機構が仮定できれば、あとは仮想仕事の原理を使って崩壊荷重を求めます。基本的な式はシンプルで、外力の仕事と内力の仕事が釣合うという考えから、次式で崩壊荷重を求めることができます。

 (外力のなす仕事) = (内力のなす仕事)
 (外力のなす仕事) = \sum P_c\delta
 (内力のなす仕事) = \sum M_p\theta

例題

建築士の問題では、事前に崩壊形が与えられて、その上で崩壊荷重を求めるという問題が出題されます。例えばH28年の問4では、以下のようなラーメンに対して崩壊機構が既に提示されています。

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外力の大きさはわかっているので、変形量を図のように柱・梁の長さとヒンジの回転角で求めます。

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よって外力のなす仕事は、

 (外力のなす仕事) = P\cdot4\cdot\theta + 100\cdot5\cdot\theta

一方、内力仕事は、全塑性モーメントとヒンジの回転角の積なので、

(内力のなす仕事)= M_p(柱)\cdot\theta×2 + M_p(梁)\cdot2\theta×2

あとは(外力の仕事)=(内力の仕事)として荷重Pを求めると225kN と崩壊荷重を求めることができます。

計算自体は簡単ですが、上の図で変形量の大きさと回転角の大きさを求めるときに、間違いないように注意しましょう。梁中央のヒンジの回転角は2θとなりますので。

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