こんばんは。
仕事柄、地方によく出張に行ったり、過疎化の進む地域と関わる機会が多くあります。また、ニュースなどでも地方活性化や東京一極集中という言葉がよく出てくることから、地方活性化について興味があった時期がありました。そんななか、東京一極集中ってそんなに悪いのか?と思って色々と調べていたときに、読んだ本について紹介したいと思います。
目次
東京一極集中は必然
日本の戦後の政策では、「均衡ある発展」が国の方針であり、それに基づき1962年から始まった全国総合開発計画が策定されてきた。しかし、バブル崩壊後、均衡ある発展が困難になり、むしろ資本を東京に集中的に投下し、東京が「稼ぎ頭」となり、地方には地方法人特別税という形で再配分するというスタイルにシフトしていった。これは、第2次産業から第3次産業へと産業構造が変化したことによるものでしょう。東京一極集中を是正するようは政策は色々とありましたが、結局、東京という大都市が持つスケールメリットが日本経済を支えているという現実があり、ゆえに東京一極集中は必然であるというのが著者の考えです。
特に、地方の税収の観点では、東京でしっかりと稼いでその分を地方特別法人税として配分してくれないと、多くの自治体が財政的に立ち行かないという点は、地方活性化を考えるうえで重要といえるでしょう。
世界的に見た東京という都市
日本にいると、大都市として大阪・名古屋・福岡・札幌などがありますが、東京の都市GDP は世界一で、ニューヨークや上海を大きく上回ります。つまり、相手は国内の都市ではなく、世界なのです。
世界都市ランキングでは、ニューヨーク・パリ・ロンドン・東京・シンガポールが毎年上位にランクインします。特に、経済や研究開発ではニューヨーク・ロンドンについで上位におり、東京に集中することで世界と戦える都市になっているということがいえるでしょう。
一方で、東京を世界のほかの都市と比べた場合の弱点として、①法人税率や煩雑な法人登記による経営者からの低評価、②インフラの一斉老朽化、③高齢化をあげており、これらを解決していくことが今後の東京の競争力を維持するポイントになると指摘している。
リニア新幹線とオリンピック
日本におけて今後予定されている大きなイベントとして、リニア新幹線の開通と東京オリンピックがあります。
リニア新幹線の影響として、名古屋〜東京間が約40分となり、名古屋が東京への通勤圏内になると予想しています。これにより、東京圏+名古屋圏が「大東京圏」として一つの都市を形成し、より大きなスケールメリットが得られる可能性を指摘しています。
さらに、2020年には東京オリンピックがありますが、これにより莫大な経済効果が生み出されるとしています。
東京一極集中のリスク
東京一極集中によるリスクとして、地震災害があります。本書では、東日本大震災のときのデータを引用し、東京が意外と地震に強い街であるとしています。また、一部で首都機能を関西などに移すべきだとの意見があることに対しては、東京は意外と災害にも強いので、副首都として首都機能を移転するのはコストに見合わず、せいぜい大阪をバックアップ都市として整備しておくのでじゅうぶんであろうと考えているようである。
やはり今後も東京一極集中が続くのか
ということで、東京一極集中についての著書の紹介でした。
政府としては地方活性化という政策を色々としているようですが、例えば大学の都心回帰のように、やはり東京のニーズは今後も高まっていくのでしょう。むしろ、なんで無理して地方を活性化しないといけないのか?ということを考えるべきなのかもしれません。