【書評】お金2.0

こんにちは。

 

最近何かと話題になっている本「お金2.0」を読んでみました。SNS界隈では絶賛されているようなのですが、賛同できるところも多々あり、ちょっとそれはどうなの?と思うところもあり、という感じでした。

以下、気になった点をメモしておきます。

 

お金2.0 新しい経済のルールと生き方 (NewsPicks Book)

お金2.0 新しい経済のルールと生き方 (NewsPicks Book)

 

 

本書ではまず、お金の仕組みや経済システムについて解説されています。特に、経済システムが 持続的発展をしていくための要素を①インセンティブ、②リアルタイム、③不確実性、④ヒエラルキー、⑤コミュニケーションと定義して整理しております。また、結局のところ、経済というのは欲望のネットワークであり、欲望を満たす快楽物質を脳へ供給することが経済を回すことに繋がることになります。そして、これからは、新しい経済システムをいかに作っていくかが重要と述べられています。

次に、現在のテクノロジーの動向について解説があり、様々なテクノロジーが分散化という共通点を持って発展していることが述べられます。そしてこのテクノロジーを駆使した仮想通貨やシェアリングエコノミーにより、経済の民主化が進みつつある、とされています。

さらに、今後の経済の動向として、今までのお金が第一という資本主義から、価値が求める価値主義へと変遷していくことを予想しており、その例として、個人の価値を取引するVALUや時間を取引するタイムバンクなどが紹介されています。

最後に、そのような時代を迎えるにあたり、我々はどうするべきか?という問いに対して、自分の好きなことをとことんやることで、自らの価値を高めていくことを推奨しています。

 

で、いくつか気になった点ですが、本種の前半で、

「脳は予測が難しいリスクのある不確実な環境で得た報酬により多くの快楽を感じやすいということが研究で分かっています」

とあるのですが、これは、人間の生物学的に普遍的な特徴なのでしょうか。たまたま、資本主義社会のは日本で生きている人(その中でも特に、経済的に成功している人)に限った特徴なのか。成功した人には当てはまると思うが、失敗している人にも(失敗しか経験してない人にも当てはまるのか。あるいは、どの程度の成功を経験すれば、不確実な環境を好意的に解釈できるようになるのか。

といった点は、議論の余地があると思います。

 

また、新しい経済の枠組みを提案していますが、結局、これに賛同している人の多くは今の資本主義システムで成功している人ばかりなのがちょっと気になります。これでは、枠組みを新しくする意味があまり無い。むしろ今まで以上に、生まれた時の条件で人生が決まってしまうのでは無いかと思ってしまいます。

 

とはいえ、仮想通貨やシェアリングエコノミーは今後ますます進んでいくでしょうし、既存の資本主義のあり方が大きく変わっていくという点はその通りなのでしょう。

 

 

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