最近、液状化しやすい地盤なんだけど、家建てて大丈夫なの?という話をいくつか聞きました。結論から言うと、液状化対策を行えば家を建てても大丈夫、ということになります。以下では液状化の発生条件と設計上の扱いについて解説します。
目次
液状化とは?
液状化とは、地震の揺れによって地盤を構成する粒子が地下水中に浮遊し、支持力を失って、あたかも液体のように振る舞う現象のことです。
古くは1964年新潟地震で液状化が注目されました。最近だと、2018年の北海道胆振東部地震の時の札幌市内で液状化が発生しましたね。
液状化の条件
液状化が発生するには、次の条件が必要です。
- 緩い砂地盤であること
- 地下水で飽和していること
- 繰り返し変形を受けること
地盤を構成する土には、礫・砂礫・砂・シルト・粘土などがありますが、液状化が発生するのは砂になります。砂よりも粒子が小さいシルト・粘土では一般的に液状化は発生しません。
「緩い」というのは地盤の固さがどれくらいかということですが、一般にN値が概ね15以下の場合は、液状化のおそれがあるとされています。
地下水で飽和していることというのは、要は地下水位以下の地盤でないと液状化は起こらないということです。ただし、地下水位はボーリング調査などを行わないとわからないので、戸建住宅など小規模な建物では、地下水位以下かどうかわからない場合も多いと思います。
3.繰り返し変形というのは、地震による揺れのことですが、強い地震の揺れだけでなく、東日本大震災のときのように、小さい揺れが長時間継続する場合でも、液状化が発生することがあるようです。
液状化対策の種類
液状化の対策は主に地盤改良を行うものと杭基礎を採用するというものがあります。
地盤改良
地盤改良は、地盤に何らかの改良を加えて、上記の液状化が発生する条件を排除するというものです。主に以下のような方法があります。
- 砂地盤の密度を上げる
- 地盤改良して地盤を固める
- 地下水位を下げる
- 地盤を変形しにくくする
各方法の詳細は別記事で解説したいと思いますが、以下の資料が大変わかりやすく体系的に整理されていましたので、一度ご覧いただくと良いと思います。
杭基礎
厳密には液状化対策ではないと思いますが、一般的に、直接基礎に比べて杭基礎の方が液状化の被害は少なくなります。杭基礎の場合、建物の自重は杭が支えているので、液状化で建物が沈下する事はありません。ただし、地盤は沈下する可能性があり、それに伴い杭の水平抵抗力算定時の水平地盤反力係数の低減させる、杭の支持力算定においてふの摩擦力を考慮するなど、設計上での注意が必要となります。
過去問
構造分野では、液状化のおそれがある地盤での基礎の設計についての出題が多いようです。
液状化の判定を行う必要がある土層は、一般に、地表面から 20 m程度以浅の沖積層の飽和砂質土層である。(2019構造No19(1)、○)
砂礫層を支持地盤とした杭基礎とする場合、細砂層が地震時に液状化するおそれがあると判定されたときは、液状化層の水平地盤反力係数を低減して杭の設計を行う。(2018構造No20(4)、○)
飽和砂質土層であっても、細粒分含有率が小さければ液状化の可能性は低くなる。(2015構造NO19(1)、×)
⇒細粒分含有率が小さいとシルト・粘土など液状化しにくい土の割合が減り、砂の割合が大きくなるため、液状化の可能性が高くなります。一般に、細粒分含有率が35%以下が液状化のおそれがあるとされています。
まとめ
- 液状化は地下水位以下にある緩い砂地盤で発生する
- 地盤改良などの対策や杭基礎を採用するれば、建物を建てても問題はない。
- 建築士試験では、液状化の発生条件や設計時の注意点が出題される。