建築士試験では、液状化に関する問題として、構造分野における設計上の注意のほかに、施工分野における液状化対策工法についての出題もあります。対策の種類と建築士試験での出題について解説します。ポイントは、以下の2点です。
- 個々の工法を覚える必要はない。(というかできない)
- 液状化の発生条件のどれかが排除されるかどうかを大まかに覚えてくことが重要
目次
液状化対策工法の種類
液状化の対策工法は様々なものがありますが、大きく以下にとおり分類できます。
- 密度増大工法
- 固結工法
- 置換方法
- 地下水位低下工法
- 地盤の変形抑制
これらは、液状化の発生条件である、
- 緩い
- 砂地盤
- 地下水位以下
- 繰り返し変形を受ける
のいずれかを排除することを目的としたものです。
以下で順に解説していきます。
密度増大工法
緩い砂地盤を何らかの方法で締め固めて密度を増大させる対策工法です。実際の工法は色んな種類がありますが、
- サンドコンパクションパイル工法
- バイブロフローテーション工法
- 転圧工法
- 群杭工法
などがあります。
固結工法
いわゆる地盤改良といえばこれになるでしょうか。液状化の条件である緩い砂地盤を、セメントなど固化材と混合しながら固めてしまう工法です。
- 深層混合処理工法
- 薬液注入工法
などがあります。
置換工法
緩い砂地盤を、液状化しない別の材料で置き換えてしまうという工法です。置き換える材料には、砕石やコンクリートといったものが使用されます。
地下水位低下工法
液状化は地下水位以下で飽和している砂地盤で起こるので、そもそも地下水を抜いてやろうというのがこの工法です。
- ディープウェル工法
- 排水溝工法
などがあります。
地盤の変形抑制
液状化を防ぐために、そもそも繰り返し変形を受けないようにしようというのがこの工法です。液状化の可能性がある地盤の周囲に、地盤よりも強固な構造物を設置して強固にすることで、変形を抑制するというものです。
- 連続地中癖
- シートパイル締切工法
などがあります。
建築士試験対策
個々の工法の内容まで覚える必要はない
液状化対策工法は、上記で紹介したもの以外も含めて、非常にたくさんの種類があり、それらを全部覚えることは難しいです。また、建築士試験で個々の工法の内容まで出題されることはないので、覚える必要もありません。
覚えるポイントは、液状化対策工法は、液状化の発生条件のいずれかを排除することを目的としている、という点です。これが理解できていれば、問題文を読んで液状化工法として正しいかどうかなどを判断することができます。
最低限の主要な工法を覚える
工法の名称から意味が想像できないという場合、主要な工法を最低限覚えるという方法でしのぎましょう。以下は覚えておいたほうが良い工法です。
- サンドコンパクションパイル工法
砂(sand)を締め固めた(conpaction)杭(pile)を地盤に形成することで、密度を増大させる工法。実務でもよく使われます。
- バイブロフローテーション工法
バイブレートを地盤に挿入し、振動させることで地盤を締め固める工法
- ディープウェル工法
深井戸(deep well)を使って地下水位を低下させる工法。
- 柱状ドレーン工法
柱状の排水渠(drain)を地中に構築して地下水位を低下させる工法
過去問
液状化対策工法については、施工分野での出題例があります。
液状化のおそれのある地盤の地盤改良工事については、地盤内に締め固められた砂杭が形成されるサンドコンパクションパイル工法を採用した。 (2019施工No7(1)、○)
⇒「締め固めた砂杭」という記載から、緩い砂地盤を締め固める対策ということが予想できます。
まとめ
- 液状化対策工法は、「地下水位以下の緩い砂地盤が繰り返し変形を受ける」という液状化の発生条件のいずれかを排除するためのもの。
- 個々の工法の内容は覚える必要はないが、どの条件を排除するものかを覚えておくと良い。