(1級建築士)地震地域係数Z

構造

前回、地震荷重の算定式および振動特性係数Rt、Ai分布について説明しました。今回は、地震地域係数Zについて説明します。

目次

地震地域係数Zとは?

地震力の算定では、各層の層せん断力係数CiをCi=Co・Z・Rt・Aiという式で算定しますが、ここで出てくるZは、建築基準法施行令88条で定義される係数で、地域ごとの地震力の差を表します。

(建築基準法施行令第88条より抜粋)

Z その地方における過去の地震の記録に基づく震害の程度及び地震活動の状況その他地震の性状に応じて一・〇から〇・七までの範囲内において国土交通大臣が定める数値

基本的には地震被害が少ない地域は、地震力は低減させるという考え方で、北海道や九州あたりは0.9や0.8となっています。

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こちらのHPより引用

最近の地震の発生状況と比べると

地震地域係数が小さいところは、過去の経験からは地震被害に遭遇する確率が低い地域となりますが、実際のところはどうなのか。上の図には近年の被害地震が発生した場所も記載されていますが、必ずしも地震地域係数が小さいところが、地震被害が少ないとは限らないようです。また、最近でいうと2016年熊本地震など、地震地域係数が小さい九州でも大きな地震が発生しています。地震地域係数Zが小さいからと言って、安心してはいけないようです。

地域によって違いがある場合もある

地震地域係数ですが、都道府県が条例によって別途定めることも可能です。例えば、静岡県では、独自に条例を定めて、地震地域係数を1.2にするとしています。南海トラフで発生するであろう巨大地震を想定した地震荷重の割り増しということなのでしょう。

www.pref.shizuoka.jp

 

また、2005年福岡県西方沖地震で被害が発生した福岡県では、高さ20mを超える建物を対象に、本来の地震地域係数0.8に対して、それを1.25倍する(Z=0.8×1.25=1.0になる)ことを努力義務として条例で定めています。

https://www.jishin.go.jp/main/herpnews/series/2012/jul/fukuoka.htm

 

このように、近年の地震被害の事例を踏まえて、自治体が独自に地震地域係数を規定するということは、今後も増えていくのかもしれませんね。

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