(1級建築士)風荷重(その2)

前回、風荷重の概要について触れましたが、今日はもう少し詳しい風荷重の解説をします。

目次

風荷重の算定式

まず、風荷重Wは風圧力と見付面積Aを乗じることで求まります。
 風荷重W=風圧力×見付面積

ここで、風圧力は、建築基準法施行令第87条に記載の通り、速度圧qと風力係数Cfの掛け算により求めます。
 風圧力=速度圧q×風力係数Cf

速度圧qの計算

速度圧の計算式は、施行令第87条のとおり次式となります。
 q=0.6EV_0^2

ここで、Eは建物高さや周辺地域の状況が風圧力に及ぼす係数、Voは基準風速と呼ばれるものです。

さらに、上の係数Eは、次式で算定することとなっています。
 E=E_r^2\cdot Gf
Erは平均風速の高さ方向の分布を表す係数、Gfはガスト影響係数と呼ばれるもので、建物高さHと地表面粗度区分により規定されます。
ここで、地表面粗度区分は、建物周辺の建物の状況に応じて以下の4区分に分類されます。
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基準風速Vo

まずは簡単な基準風速Voから。これは、過去の台風などによる風害の経験をもとに、設計で考慮すべき風速を決めたもので、30~46m/sの範囲で地域ごとに規定されています。
例えばこちらのページに地域ごとの基準風速がありますが、台風被害の多い沖縄・鹿児島・高知などで基準風速が大きくなっていることがわかります。

平均風速の高さ方向の分布を表す係数Er

上の式で出てくる係数Erは、建物の高さによる荷重の違いを表す係数で、告示1454号で規定されます。
グラフ化すると以下のようになりますが、特徴としては、同じ区分であれば建物高さが高いほどErは大きく、同じ高さであれば、区分Ⅰ(都市計画区域外の平坦な土地)のほうがErが大きくなります。
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ガスト影響係数Gf

ガスト影響係数は、ビル風のような周囲に建物がある場合による影響を表すもので、以下の図のようになります。
特徴は、同じ地表面粗度区分であれば、建物高さが高いほどガスト影響係数は小さいこと。また、同じ高さであれば、区分Ⅳ(都市化が進んでいる土地)のほうがガスト影響係数が大きいということ。
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ガスト影響係数Gfと係数Erの関係が重要

建築士試験では、風荷重を具体的に計算することはないと思いますが、定性的な特徴を理解する必要があります。その際、ガスト影響係数Gfと係数Erの関係性に注意しましょう。

どちらも地表面粗度区分によって値が変わるものですが、ガスト影響係数Gfは都市部ほど大きくなり、逆に係数Erは都市部ほど小さくなります。
ガスト影響係数は、都市部の建物の影響により突発的な風がどれくらい生じるがを表した、いわゆるビル風をイメージしたもの。一方、係数Erは、平均風速の高さ方向の分布を表すもので、市街地で建物が多いほど抵抗物が多くなり平均的には風速が小さくなるというもの。これらの定性的な傾向をしっかりと理解しておくことが試験対策としては重要です。

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