建築材料として用いるコンクリートにはいくつかの種類があります。それぞれの特徴とを整理してみます。
目次
基本は普通コンクリート
建築で最も使われるのが普通コンクリートです。特に指定がなければ普通コンクリートとなります。
ポイントは、普通コンクリートの設計基準強度は36N/mm2以下であること。これより大きい強度のものは、高強度コンクリートに分類されます。
強度を大きくした高強度コンクリート
普通コンクリートに対して、設定基準強度を高めたものが高強度コンクリートです。超高層ビルなどに用いられます。
建築学会の規準JASS5では、強度が36N/mm2を超えて120N/mm2以下のものと定義されています。最近では、強度200N/mm2を超えるようなものも出てきまして、柱部材をよりスレンダーにした建物もあります。
高強度コンクリートは、一般にセメントの量に対して水が少ないこと、空気量が少ないことが特徴です。強度を出すには、水セメント比を小さくしなければなりません。また、空気量が大きくなっても、コンクリート強度は低下してしまいます。
しかし、水セメント比・空気量が小さいままだと流動性が低く施工が難しいため、高性能AE減水剤を添加して流動性を高めるなどの対策が取られます。
さらに、セメント量が多いということは、打設時の発熱量も大きくなり、その分ひび割れも発生しやすくなります。
重量を小さくした軽量コンクリート
コンクリートの質量は、およそ2.3t/m3ですが、これを軽量化したものが軽量コンクリートです。概ね1.8t/m3程度の質量が一般的のようです。
軽量化には、軽い骨材を使用するタイプと、気泡を多量に導入するタイプに大別されます。
軽量コンクリートは、自重が小さくなるため部材の軽量に繋がり、コスト減の効果があります。また、空気量が普通コンクリートに比べて多いので、断熱性に優れるという特徴のあります。一方、コンクリート強度は普通コンクリートに比べて小さい傾向があります。
施工性を高める高流動コンクリート
普通コンクリートの打設では、バイブレータなどを使って締固めを行い、型枠の隅々までコンクリートが行き渡るようにしますが、複雑な部材や作業スペースが狭いところなど締固めか困難な場所では、高流動コンクリートを用います。通常は締固めは行わず、ただ型枠に流し込むだけの施工となります。
特徴として、高流動コンクリートは普通コンクリートよりも水量が少なく、代わりに使用するセメントの種類を変えたり、混和剤を用いて流動性を高めます。この時、材料分離抵抗性の高い材料を用いないと、骨材とセメントペーストが分離してしまうため、注意か必要です。
水密コンクリート・水中コンクリート
プールや水槽など、水密性が求められる部位には、水密コンクリートが用いられます。また、護岸や橋脚などの水に触れる土木構造物では、水中コンクリートが用いられます。
コンクリートには通常、小さなひび割れなど何らかの水の通り道があります。これをできるだけ減らそうとするのが水密コンクリートとなります。