(1級建築士)断面1次モーメント・断面2次モーメント・断面係数

構造

こんにちは。

そろそろ建築士シリーズを充実させていきたいと思います。まずは構造系の計算問題で毎年必ず出題される断面諸量についての解説です。

目次

断面1次モーメント・断面2次モーメント・断面係数の定義

まずは最も基本的な断面の断面1次モーメント(重心)。これは、「その点を通る任意の軸に対する断面1次モーメントがゼロとなる点」で、式でいうと以下のようになります。
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 S_x=\int y dA

ここで注意がありますが、この断面1次モーメントも、次に出てくる断面2次モーメントもある「軸」に対する値であること。この後で断面2次モーメントの公式が出てきますが、それはあくまで「図心と通る軸」に対する式であることに注意が必要です。

さて、上の説明で重心のことをあえて断面1次モーメントと呼びました。これが分かると、断面2次モーメントが理解しやすくなります。

断面2次モーメントIの定義は以下のようになります。

 I_x=\int y^2 dA

ここで、積分の中を見ると、次数が2次になっている事に注目。これが断面2次モーメントと呼ばれる所以です。

断面2次モーメントは、曲げを受ける梁の応力を算定したり、座屈荷重を算定するときに使ったりなど、いろんなところで出てくるので、しっかり覚えましょう。
最後に、断面2次モーメントとよく似ている断面係数Zです。

 Z = \frac{I_x}{c}

ここでI_xは断面2次モーメントでcは図心を通る軸から断面縁までの距離。この断面係数は、あるモーメントが作用したときの断面の上下縁での応力を算定する際に用いる係数です。ポイントは、この断面係数は、断面2次モーメント違って、軸には依存せず、断面の形状だけで決まるということ。

よって、ある断面に対して、「断面係数Zは〇〇㎝^3です」とは言えますが、「断面2次モーメントIは〇〇㎝^4です」とは言えません。必ず「どの軸に対する断面2次モーメントか」を明示する必要があります。

建築士試験ではこれだけ覚える

ということで断面1次モーメント、断面2次モーメント、断面係数について説明しましたが、建築士レベルでは、建築士の試験で必要なのは次の2つの式だけです。

長方形の断面2次モーメントと断面係数の公式

幅b、高さhの長方形断面の、図心に対する断面2次モーメントIと断面係数Zは、以下の通りとなります。
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 I_x=\frac{bh^3}{12}

 Z = \frac{bh^2}{6}

基準軸から重心がずれている場合の補正方法

図心を通らない軸に対する断面2次モーメントを求める場合、上の式は直接使えません。以下の式で軸のズレを補正する必要があります。
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 I_x = I_X + Ay^2

変わった断面の場合の対処法

変わった断面の断面2次モーメントを問われる事がたまにあります。いくつか例を挙げると、

H型鋼

これは定番ですが、3つの長方形の組合せで以下の通り求めます。
図のようにH鋼を3つの長方形に分けて、以下のようになります。

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 I_x = \frac{b_1h_1^3}{12} - \frac{b_2h_2^3}{12}×2

L型アングル

L型アングルの場合、2つの長方形に分け、さらに軸のズレの補正式を適用します。

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 I_x = (縦長の長方形) + (横長の長方形) \\ = \frac{b_1h_1^3}{12} + (\frac{b_2h_2^3}{12} + (b_2h_2)*(\frac{h_1}{2}-\frac{h_2}{2}) )

ということで、構造力学の基本である断面諸量の解説でした。

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