自動火災報知機の設置基準

法規

自動火災報知機に関する問題は建築士試験でもたまに出題されます。また、消防法関連の知識は実務でも非常に役に立つので、勉強しておくと将来役に立つ機会があるでしょう。

今日は自動火災報知機について解説します。

目次

自動火災報知機とは

自動火災報知機とは、熱や煙を感知し、受信機に火災信号を送り、受信機から建物各所へ警報を発し、ベルなどで建物内にいる人に火災発生を知らせる装置です。

感知器は建物内各所に設置されています。受信機は、マンションでは管理人室に、一般の商業施設などでは防災センターや守衛室といったところに設置されています。

設置基準に関する根拠法令

自動火災報知機の設置については、消防法第17条・消防法施行令第21条などで規定されています。

まず、消防法第17条では、一定条件を満たす事業所には消防用設備等を設置しなければならないとされています。次に、消防用設備等の具体的な内容は消防法施行令第7条で規定されており、その中で自動火災報知機は第7条3項の”警報設備”として規定がされています。

詳しい設置の基準は以下のページがよくまとまっています。

https://www.nohmi.co.jp/product/pdf/keihou.pdf

https://www.fdma.go.jp/singi_kento/kento/items/kento257_06_sankou1-1.pdf

自動火災報知機の設置基準

自動火災報知機の設置が必要な建物の基準は消防法施行令第21条および別表第一で規定されており、建物の用途や延べ面積によって設置が必要かどうかが決まってきます。

この第21条の条文、実際に読んで見ると表示に細かく規定されていて理解するのが難しいのですが、ざっくりとした以下のようなざっくりとしたイメージを持つと理解しやすいかと思います。

●延べ面積によらず、用途により必ず設置が必要となる場合

カラオケなどの個室を利用する店舗、宿泊施設、宿泊を伴う病院など、建物内が個室など細かく区分されていて火災発見が難しい、または、火災発見から避難までに時間がかかるおそれが高い建物が該当します。

●用途ごとに、一定以上の延べ面積であれば設置が必要と場合

用途に応じて、延べ面積が200㎡以上・300㎡以上・500㎡以上となると、設置が必要となります。細かな規定は法文によりますが、ざっくりいうと以下のようなイメージです。
①逃げるのに時間がかかるものは200㎡以上で設置
②不特定多数の人が利用するものは300㎡以上で設置
③その他のものは500㎡以上で設置

基本的には、火災が発見しにくいほど、また、火災発生した場合に避難に時間がかかるほど、設置基準が厳しくなります。

自動火災報知機の構造

自動火災報知機は、火災を感知する「感知器」、火災を発見した人がボタンを押して知らせる「発信機」、感知した信号を受ける「受信機」、火災を建物内に知らせる「地区音響装置」などで構成されます。

感知器には、感知方法の違いなどにより「差動式スポット型熱感知器」「定温式スポット熱感知器」「光電式スポット型煙感知器」「サーミスタ式感知器」などの種類があります。また、発信機には信号発信の方式によりP型・T型・M型などの種類が、受信機にもP型・R型などの種類があります。

これらの種類の違いについては、建築士試験で出題されることはありませんが、様々な種類があるということは理解しておくと良いでしょう。

過去問

最近の過去問では、以下のようなものがあります。

地上3階建ての事務所で、各階の床面積が300㎡のものについては、原則として、3階に自動火災報知設備を設置しなければならない。」(2018年No25(3))

施行令第2121項により、3階以上の階で床面積300㎡以上のものに該当するので、自動火災報知機の設置が必要となります。

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