(1級建築士)ゴルフ場のフェンスは工作物に該当するか?

法規

昨年の台風15号で、ゴルフ場のフェンスが倒壊する事故がありました。

市原ゴルフガーデン鉄柱倒壊事故

このような大型のフェンスは、何に基づいて設計されているのでしょうか。法律上の扱いを解説します。

目次

結論:建築基準法上の工作物に該当する

結論から言うと、ゴルフ場にあるような大型フェンスは建築基準法上の「工作物」に該当します。

よって、通常の建物と同じように、建築基準法に従って設計や法令手続きを行う必要があります

解説:建築基準法における工作物の扱い

工作物の扱いを考える上でのポイントは主に以下の2つです。

工作物への準用(法88条)

建築基準法第88条で、「煙突、広告塔、高架水槽、擁壁その他これらに類する工作物で政令で指定するもの及び昇降機、ウォーターシュート、飛行塔その他これらに類する工作物で政令で指定するもの」については、建築基準法の各種規定を準用するとされています。

また、建築基準法施行令第138条では、法88条の工作物の具体的な内容を規定しています。例えば、煙突、広告塔、高架水槽、擁壁その他これらに類する工作物で政令で指定するもの」とは、具体的には、以下のとおり指定されています。

  1. 高さが6mを超える煙突
  2. 高さが15mを超える鉄筋コンクリート造の柱、鉄柱、木柱その他これらに類するもの
  3. 高さが4mを超える広告塔、広告板、装飾塔、記念塔その他これらに類するもの
  4. 高さが8mを超える高架水槽、サイロ、物見塔その他これらに類するもの
  5. 高さが2mを超える擁壁

ゴルフ場のフェンスの支柱は、上記2.に該当するため、工作物に該当しますね。

工作物の建築確認申請・設計基準

工作物に該当するものは、建築基準法に準じて確認申請や設計を行う必要があります。確認申請については、建築基準法施行令第138条の2に規定があります。

 

また、ゴルフ場のフェンス支柱の技術基準は建築基準法施行令第140条に規定があります。主な内容としては、施行令における構造関係規定や避雷設備に関する規定を満たす必要があります。

工作物の確認申請の例

工作物の範囲や確認申請の必要書類などは、各自治体のHPで解説されている例が多いようです。ちなみに、ゴルフ場の支柱倒壊があった市原市については、市HPで確認申請が必要な工作物の範囲は必要書類が記載されています。

建築士試験の事例

工作物のついて建築士試験で出題される例として、H25年法規の問3がありました。

都市計画区域内における次の行為のうち、建築基準法上、確認済証の交付を 受ける必要がないものはどれか。ただし、防火地域、準防火地域又は建築等に関する確認 済証の交付を受ける必要がない区域の指定はないものとする。

1.〜3.(略)

4.ゴルフ練習場に設ける工作物で、ネットを支える高さ20mの鉄柱の築造

選択肢4は、高さ15mを超える鉄柱なので、工作物に該当しますね。

まとめ

  • ゴルフ場のフェンスの支柱は、工作物に該当する。

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