鉄筋コンクリートでは、鉄筋に適切な「かぶり」を設ける必要があります。覚えてしまえば簡単な話なのですが、少しだけ注意点があります。
目次
かぶりとは?
かぶりとは、「コンクリート表面から鉄筋までの最短距離」を指します。図でいうと以下のように、梁や柱の場合、主筋の外側にあるせん断補強筋(あばら筋、帯筋)の外縁からコンクリート表面までの寸法となります。
鉄筋は、水と空気に接することで酸化が進み、表面に錆が発生します。錆の発生により、鋼材として力を負担しない断面が徐々に増えていってします。それを防ぐために、アルカリ性のコンクリートで鉄筋を覆い、耐久性を確保しようということです。
必要なかぶり厚さ
必要なかぶり厚さは、部位によって違いがあります。法令上は、建築基準法施行令第79条に規定があり、部位ごとに2㎝~6㎝の範囲で規定されます。また、実際の設計では、建築学会の配筋指針などを参考に、特記仕様書で具体的な数値を規定することが一般的です。
また、施工の現場では、施工誤差を考慮して、最小かぶり厚さに1㎝の余裕をみて施工されることも多いかと思います。
土木と建築で測り方が違う??
さて、以上はかぶり厚さに関する基本的なことで、簡単な話かと思いますが、1点注意が必要なことがあります。それは、土木分野では、かぶり厚さを「コンクリート表面から鉄筋中心位置までの距離」ということがあること。鉄筋中心位置からの距離とする場合、実際のかぶり厚さは鉄筋径の半分とせん断補強筋の直径を差し引いたものとなりますので、注意が必要です。
かぶり厚さを設ける意味は土木も建築も当然同じですが、土木の施工図面などでは、鉄筋の中心位置からの距離を記載していることが以前はあったようです*1。
*1:最近の図面はどうかはわかりませんが・・・