建築で使われる鉄筋にはいくつか種類があります。それぞれ材料の性質も違いますので、整理してみます。
鉄筋の種類
鉄筋の種類は、径と材料強度で分類されます。径は小さいものでD10、大きいものでD41*1が一般的です。材料強度としては、鋼材の降伏強度に応じてSD295、SD345、SD390、SD490といった種類があります。
また、一般的に用いられるのは、鉄筋に節がついた異形鉄筋というものですが、節のない丸鋼が使われることもたまにあります。鉄筋種類の表示で、SD〇〇〇となっているものは異形鉄筋、SR〇〇〇となっているものは丸鋼です。
以前の記事で紹介した定着長さや重ね継手長さは、この鉄筋の種別に応じて決定されます。
力学的な特徴
力学的な特徴は、鉄骨構造でも出てきますし、試験で頻出ですので、ぜひ覚えましょう。
一番重要なのは応力-ひずみ関係です。一般に、鋼材の応力ーひずみ関係は以下のようになります。
初期変形のうちは、応力とひずみが比例する線形域で、ひずみが降伏ひずみεyに達すると、応力が降伏応力σyで一定のままひずみだけが増大していきます。ある程度ひずみが大きくなると、再び応力が増大するひずみ硬化域に入り、そこで引張強度σuで最大の応力を記録したのち、破断に至ります。
以上が一般的な力学特性ですが、建築士試験でよく出題される重要となるポイントに、以下のようなものがあります。
- 応力ーひずみ関係の初期勾配(ヤング係数といいます)は、2.05×10^5[N/mm2]
- 鉄筋の種類名に出てくる数字(例えばSD〇〇〇)は、降伏応力を示している。
- 降伏強度σyと引張強度σuの比(σy/σu)を降伏比といい、降伏比が小さいほど、塑性変形能力が大きい。
ここで注意が必要なのが2.の種類名に出てくる数字の意味。鉄筋の場合、この数字は降伏応力を表してますが、建築用鋼材の場合、この数字は一般的に引張強度*2を表します。どちらもJIS規格品ですが、鉄筋と建築用鋼材の場合、意味が異なりますので、注意しましょう。
こちらのページに詳しい解説があります。
以上、鉄筋の種類と材料特性についてでした。
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