【書評】頭がいい人の読書術

書評

世の中で最も効率的な自己投資は何かと聞かれたら、私なら真っ先に「読書」と答えると思います。わずか数千円で多くの知識を得られるのだから。ただ、どんなにたくさん本を読んでも、読むだけでは意味がなくて、書いてあることをしっかりを自分のものにしていかなかればならない。この本では、素早く本を読み、アウトプットすることで、本の内容を身につけるためのテクニックが紹介されている。

ポイントは、

  • 時間を決めて、1冊10分でインプットし、30分でアウトプットすること。
  • 1冊を全部読まなくても良い
  • 読んだら、誰かに話す、ブログなどの記事を書くことにより、知識が定着する

ということである。

共感できたこと

今までたくさん本を読んできたが、いまいち役に立っていなかったり、自分の成長に繋がっていない感じがしていた。これは、単に読むだけで、アウトプットしていなかったことが原因だと思う。著者が主張するアウトプットの重要性は、そのとおりだと思う。

このアウトプットの重要性は、最近の勉強法に関する理論でもよく指摘されているところで、読んだ内容を誰かに話したり教えたりするつもりで本を読むと、より内容が記憶に定着するというものであろう

 

また、読書術の細かなテクニックにおいても、納得行くものがいくつもあった。たとえば、

  • 読む前に目的を明確化する
  • 心のなかで音読しない
  • 本を全部読む必要はない
  • 大事なことは全体の2割
  • 読書を習慣化させるため、本は目に見えるところに置いておく
  • メモをしながら読む

などがそれにあたる。

 

疑問に思ったこと

本書を読んでいて疑問に思ったことがいくつかある。

①タイポグリセミア現象を使った速読の方法

人間の脳は、単語の一部が間違っていても意味を正しく理解して読む能力があるらしい。これを「タイポグリセミア現象」と呼ぶとのこと。本書では、このタイポセミグリア現象を用いて、本の上半分だけを読んで内容の60%を理解する速読の方法が紹介されている。

確かに、全部読まなくても、ある程度の内容を理解することはできるだろう。ただし、タイポグリセミア現象は、自分の理解力の範囲で内容を予測・補完する、というものだと思われるので、この上半分だけ読むという方法を用いると、自分の理解している範囲しか本の内容が入ってこないのではないかという疑問が湧いた。本を読むのは、新たな知識を身につけるため、というのが一番の理由であろう。であるならば、上半分だけ読んで速読ができたとしても、新しい知識はあまり得られないのではないか。また、自分が理解できる、都合の良い部分だけを理解してしまうのではないか、という懸念がある。

また、本書の例題で、下半分をモザイク化して、上半分読書法の効果を示している箇所がある。ここでは、例題のあとに文章の内容についての設問がでてくるのだが、設問が簡単すぎて、本当に上半分だけで文章が理解できたのか、単に設問の内容が不適切なのか、区別がつかない。

読んだ内容をアウトプットすると自己肯定感が上がる?

本書の後半で、「読んだ内容を魅力的にアウトプットできるようになると、自己肯定感も上がる」という記載がある。第23章のまとめの文章である。しかし、第23章をじっくり読んでも、「自己肯定感が上がる」という趣旨の内容は書いていないように思う。

例えば、日記を書くことで自己肯定感が上がるという研究もあるようなので、読書をした内容を日記として書き留めることで自己肯定感が上がる可能性はあるのかもしれない。しかし、アウトプットすることで自己肯定感が上がるというエビデンスは特に紹介されていないので、この主張には少し疑念が残る。

 

本当に効率的な読書術とは?

本書で紹介される「上半分だけ読む」という読書法は、スピード重視の速読に近い考え方と言えるだろう。ただし、このような読み方が本当に良いのだろうか。

効率よく本を読む方法としては、例えば以下のようなものも考えられると思う。(主にビジネス書)

  1. 見出し、太字などの強調されている部分だけを読んでいく。
  2. 目次から重要と思われる項目だけを、じっくり読む。
  3. 結論にあたる最終章から読んでいき、わからない内容が出てきたら都度、前に戻って該当箇所を読む。

個人的には、ビジネス書であれば、1.が良いと思う。また、1.は本書の推奨する方法にも近い。ビジネス書以外では、例えば論文であれば、2.でも良いだろう。また、技術書であれば、3.も良いと思う。

結局のところ、どの読書法が適しているかは、対象とする本の性質によって変わると思われるので、本のジャンルに応じて適切に読書術を使い分けるようにできることが望ましいのではないか。

 

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