建築士が異業種へ転職するメリット・デメリット

建築士

建築士を取得した人の多くは、建築業界で設計・施工などの仕事をすることが多いと思います。ただし、様々な理由で転職を考える人もいるでしょう。そこで、建築士を取得した人が、その後異業種へ転職するメリット・デメリットについて、実際に異業種へ転職した経験を踏まえて、私なりの考えを解説します。建築士を持っていて転職を考えている人、これから建築士を取る予定の人などの参考になればと思います。

なお、建築士を取得した人が、建築業界内で転職することも当然あると思いますが、今回は異業種への転職についてのお話になります。

建築士のセカンドキャリア

建築士の職能は、ざっくりいうと「建物を作ること」です。この職能は、設計事務所やゼネコンなどの「作る側」の人には当然必要となりますが、それ以外の業界でも必要とされることがあります。例えば、以下のような業界です。

1.不動産

不動産ディベロッパーなど、建物を「発注する側」会社や、不動産投資など建物を「売買する側」の会社では、作る側の人たちと意思疎通を適切にするために、建築士の知識が役に立つ場面があります。また、不動産投資判断などを行う際にも、建築士の技術的な知見が必要となる場面があります。

2.製造業など民間企業

民間企業では、オフィスや工場など何らか建物を所有しているケースが多いと思います。それらを「発注」したり、「維持管理」するのに建築士の知見が役に立つ場面があります。

特に、企業規模が多くなり所有する建物数が多くなると、それらを効率的に管理するために建築系の人材を雇うこともあります。

3.公務員

自治体には、自治体が所有する建物を「作る」「維持管理する」仕事があり、建築系人材を新卒・中途問わず採用しています。また、建築確認申請など建物を「審査する」という仕事もあります。

これらの業界では、建築士資格所有者を中途採用で募集していることがあります。

異業種へ転職するメリット

1.資格を持っているだけで重宝される

会社によっては、法令手続きや入札参加条件などの都合上、建築士の有資格者が必要となることがあります。この場合、建築士として実力がさほどない場合でも、会社にとってはとてもメリットがあるため、やたらと重宝されることがあります。

また、待遇面においても、有資格者であることから、資格手当などが付く場合もあるようです。

2.未経験業種でも高待遇で転職できる

通常、未経験業種への転職の場合、待遇面では低くなることが多いと思います。採用する会社側からすると、仕事が本当にできるかどうかよくわからない人に高い給料を払いたいとは思いませんので。

ただし、上記のとおり有資格者であることが会社にとってメリットとなったり、また、資格を持っていることが一定の職能を担保すると解釈されることがあり、未経験業種への転職でも待遇がよくなるケースが意外とあります。

これは、いわゆる「錯覚資産」というものだと思うので、使い方を間違えると、採用されたあとで「意外と仕事のできない人」というレッテルを貼られるおそれもあり注意が必要ですが、上手に有資格者であることをアピールすれば、自分の実力以上の待遇をつかめるチャンスがあるとも言えます。

3.職場環境が改善される可能性がある

最近はかなり改善されてきているようですが、以前は建築業界は労働時間が長く、職場環境は決して恵まれているとは言い難いものでした。しかも、業界内では建築士の資格を持っているのが当然なので、有資格者だからといって良い職場環境を選択できるというわけでもなかったりします。

建築士の資格をうまくアピールできれば、職場環境のよい会社へ十分な待遇で転職することも不可能ではないと思います。

異業種へ転職するデメリット

1.求められる技術・知識水準も高い

建築士といっても、「意匠」「構造」「設備」などの専門分野があったり、「住宅」「オフィス」「工場」などの扱う建物の種類の違いもあり、建築の全てに関して詳しいわけではありません。しかし、異業種の人からすると、建築士なら何でも知っていると思われることが多いと思います。また、異業種へ転職した場合、転職先では建築に詳しい人は周りにいないことが多いため、気軽に相談できず、ひとりで悩みを抱えてしまうこともあるようです。

2.資格以外の経験がみられない

採用する会社の立場からすると、建築士という資格が必要だから人を雇っているわけで、その人のキャリアについて特段興味はないというケースがほとんどだと思います。

転職する側としては、今までに関わったプロジェクトの内容は、そこで得たスキルなどを履歴書や面接でアピールし、それを新しい職場で活用しようと考えたりするわけですが、採用する会社側はそのような部分は全然見ていないことがあります。よって、いざ転職してみると、今までのスキルが全然活かせず、単に有資格者として自分の興味のない仕事をすることになる可能性もあります。

3.建築士としてのスキルアップは難しい

異業種へ転職すると、周りには建築士をはじめ建築に詳しい人間がいないケースがほとんどです。そうなると、建築士としてのスキルアップは難しいでしょう。

4.社内での出世ルートが限られる

設計事務所やゼネコンであれば、キャリア形成の一環で1級建築士を取得し、社内で様々なプロジェクトで実績を積んでいき、出世するのが王道といえます。また、建築士としての実務経験を元に、事務所を開業するなどの選択肢もあるでしょう。

一方、先に述べた異業種へ転職した場合、建築士として一定のニーズはありそれなりの待遇を期待できるものの、転職先で大きく出世することは難しい場合が多いでしょう。

長期的な展望を持って転職先を考えよう

以上のようなメリット・デメリットを考えて、転職先を考える際には、

  • どの業界・会社に転職すると、より自分を高く売れるか(高待遇を得られるか
  • 転職先で、新たにどのようなスキルを手に入れることができるか

の2点をよく考えることが重要と思います。

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