(1級建築士)レオパレスの建築基準法違反問題とは?法30条・界壁について

法規

こんばんは。

 

レオパレスが提供する賃貸マンションが、建築基準法違反の疑いがあるとのニュースが出てきました。おそらく素人の人には何のことかよく分からないかと思いますが、1級建築士を取ると、何が違反なのかが理解できるかと思います。

news.livedoor.com

 

目次

事件の概要

レオパレスと言えば、広瀬すずのCMで有名なアパート建設・賃貸の会社です。今回、レオパレスのアパートで、部屋と部屋を仕切る「界壁」というものが屋根裏まで届いていなかったという疑惑が指摘されました。ネットの書き込みなどでは、隣の部屋の声・生活音がやたら聞こえるなどの書き込みが見られていたのですが、まさか仕切り壁を途中で切っていたとは、驚きです。

界壁とは?

さて、何が違法であったか、確認しましょう。まず、建築基準法第30条では、以下のような記載があります。

第30条(長屋又は共同住宅の各戸の界壁)

長屋又は共同住宅の各戸の界壁は、小屋裏又は天井裏に達するものとするほか、その構造を遮音性能(隣接する住戸からの日常生活に伴い生ずる音を衛生上支障がないように低減するために界壁に必要とされる性能をいう。)に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない。

ということで、基準法では遮音性能という観点での規制が書かれています。界壁というのは部屋と部屋を仕切る壁のことです。

ここで政令で定める技術的基準については、建築基準法施行令の第22条の3、で以下のような記載があります。

第22条の3(遮音性能に関する技術的基準)

法第三十条(法第八十七条第三項において準用する場合を含む。)の政令で定める技術的基準は、次の表の上欄に掲げる振動数の音に対する透過損失がそれぞれ同表の下欄に掲げる数値以上であることとする。

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隣の部屋の声がよく聞こえるというのは、この界壁が屋根裏まで達していなかったため、天井裏を通じて音が聞こえてしまったということなのでしょう。

 

さらに、建築基準法施行令114条には、以下のような記載があります。

第114条  (建築物の界壁、間仕切壁及び隔壁)
長屋又は共同住宅の各戸の界壁は、準耐火構造とし、小屋裏又は天井裏に達せしめなければならない。

こちらは防火の観点からの規制で、火災の延焼を防ぎ、また避難を円滑にするということを目的とした規制のようです。

 

法規は社会でも役に立つ

さてこのニュース、建築基準法を知らないと、ただ単に隣の部屋の音がうるさい建物が問題になったという程度の認識しか出来ませんが、正しい知識があると、これは耐火にも関することで、場合によっては命に関わる問題だということがわかります。1級建築士の試験問題が実社会で役立つ数少ない例ですね。法規の勉強は、ただ問題集を解いていくだけでなく、今回のような実際の建物での事例を考えながら解いていくと、より理解が深まるかと思います。

 

以上、法30条・界壁についてでした。

いちばんやさしい 建築基準法 改訂版

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