建築士法が改正され、2020年3月2日に施行されました。改正内容のポイントを解説します。
目次
改正ポイント① 受験資格の変更
今まで建築士試験受験時に必要であった実務経験が、免許登録時の要件に変更となりました。これにより、とりあえず試験だけ受験しておいて、実務経験が得られてから免許登録を行うということが可能となります。
特にメリットがあるのが、ゼネコン等で施工管理の職種に就く場合です。施工管理はどの現場も忙しく、試験勉強の時間を確保できないことが多いため、時間に余裕がある学生のうちから勉強しておき、就職直後の試験で一発合格するという方法が可能になります。
改正ポイント② 実務経験の対象範囲が広がる
今回の改正により、実務経験として認められる業務が大きく広がりました。これにより、設計監理以外の仕事をしている人でも、建築士試験を受験できるようになります。
新たに追加される対象実務は国交省のHPにある制度概要に記載されていますが、主なものとしては、以下のようなものがあります。
- 建築の基本計画
- 建築物の調査・評価、定期報告のための調査
- 建築行政
- 建築に関する調査研究
この改正により、計画段階のみを請け負っているコンサル会社や、エンジニアリングレポートなどの建物評価・鑑定などを行う業務についても実務として認められることになりました。
これらの業界では、建築士を所有する人を転職市場から中途採用することがよくありますが、今後は自社内での業務を実務経験として受験させることもできますね。
改正ポイント③ 設計図書の保存
設計図書の保存については従来からも規定がありましたが、今回の改正により全ての建物について各種図面・構造計算書等・工事監理報告書の保存が義務付けられました。
従来、いわゆる4号建築物や建築確認が不要な建築物(小規模な建物)については構造計算書等の保存は義務付けられていませんでしたが、今後はこれらについても保存が義務付けられます。